HIGHLIGHTS
目的と価値観
「Ocean & Climate Village」は、海と地球の気候の複雑なつながりを探求するインタラクティブな没入型の巡回展です。69枚のパネルからなる巨大なステンドグラスの天窓の下でパーティーやフォーマルなイベントが開催されるボールルームがその会場となります。インフォグラフィック、写真、インタラクティブなインスタレーション、触覚体験など、多彩な教育ツールを活用して、地球の気候を調整する海の重要な役割を説明します。特に注目されるのが、1940年から2100年までに地球温暖化により海洋体積が増大し、その傾向が今後も続く可能性を示すインスタレーション「UpSeaDown」です。また、触覚的なインスタレーション「Feel the Change」では、自然な状態と酸化状態下での海洋生態系の違いを、モデルに直接触って感じ取ることができます。FIO(First Institute of Oceanography, Ministry of Natural Resources)とDCC-OCC(UN Decade Collaborative Centre on Ocean-Climate Nexus and Coordination Among Decade Implementing Partners in P.R. China)が、現地の状況に照らしたコンテンツの調整を支援しています。
エミー賞にノミネートされた環境写真家で気候アーティストのEnzo Barracco(エンツォ・バラッコ)の代表作品を集めた写真展。気候変動が環境にどのように影響するかを印象的な写真によって来場者に訴えます。今回は、南極大陸、ガラパゴス、ハワイ、アラスカへの撮影旅行で撮った写真が初公開されます。エンツォは常々「写真に翻訳は不要」と述べており、過去の写真展と同様に、気候変動に対する意識を高めるための普遍的な言語として写真を活用しています。
イベント開催を記念して、10月10日にTencent Channelsでライブ配信されたテーマ別トークセッションでは、科学、芸術、民間企業の各分野の著名人が海洋教育について多様な視点から意見を交わしました。
「海洋リテラシーとグローバルな協働」では、ユネスコ-IOCシニアプログラムオフィサーのフランチェスカ・サントロ氏、欧州アカデミーの会員であり、中国自然資源部第一海洋研究所副所長および国連海洋科学の10年・海洋と気候の連関に関する協働センター長を務めるファンリ・チャオ博士、UCCA現代芸術センター所長のフィリップ・ティナリ氏が対談。海洋リテラシーのグローバルミッションと、分野横断的な協力の重要性に焦点を当てた対話を展開しました。
「感情、物語、そして海の保護」では、日本の著名な魚類学者で画家のさかなクンと、コーラル・ガーデナーズの創設者でSEA BEYONDアンバサダーのティトゥアン・ベルニコ氏が対談。ポッドキャスターのチャン・ジーチー氏が司会を務め、海洋保全の感情、物語、科学的な側面を探求しました。また、この対談には俳優のバイ・ユーファン氏も加わり、内陸で育ちながらも海への情熱を育んできたことについて語りました。
「気候意識における写真の役割」では、エミー賞にノミネートされた環境写真家でアーティストのエンツォ・バラッコ氏と、ユネスコ-IOCシニアプログラムオフィサーのフランチェスカ・サントロ氏が打ち解けた対話の中で、海洋保護と環境責任を推進する上でのビジュアルアートの役割について語り合いました。この対談では、自然の美しさに焦点を当て、アートがいかに科学と社会の架け橋となり、地球に対する意識を高め、行動を促すことができるかを強調しました。
科学・アート・海洋に対する意識向上を促す若者向けの教育ワークショップが開催され、魅力ある実践的体験の機会を提供しました。序盤の「Ocean kaleidoscope: rescue the whale」と題したワークショップでは、海洋汚染、およびそれが海洋生物に及ぼす影響を探りました。「Land and sea: mini-ecosystems」では、子どもたちは海面上昇が人間と海洋生態系の両方に及ぼす影響を学んだ上で、自然由来の方法を用いた解決策を考えました。さかなクンによる「Secrets of the Sea: A Journey into the World of Fish」は、中国海域の代表的な魚種をライブドローイングやストーリーテリングによって学ぶ機会となりました。このワークショップには、中国内陸の貴州省から訪れた小学生のグループも参加していました。彼らはSEA BEYONDのために教師と一緒に上海を訪れ、初めて海辺を体験し、海洋知識や海洋文化を身近に感じることができました。