ミラノ&上海 – 上海の中心部にある歴史豊かな邸宅Prada Rong Zhaiにて、SEA BEYONDの多面的なプログラムが初めて正式に開催されました。海と人間との関係や相互の影響に関する理解を深めることを目的とした多彩な教育活動が展開され、大人も子供も多数参加しました。来場者数は最初の2日間だけで1,600人に上りました。
ボールルームを会場に開催されたOcean&Climate Villageは、地球の気候を調整する上で海洋が果たす重要な役割を学ぶインタラクティブな没入型科学巡回展です。ユネスコ政府間海洋学委員会(UNESCO-IOC)が開発したこの展覧会が中国で開催されたのは、2023年10月の青島に続き2回目となります。
4階は、エミー賞にノミネートされた環境写真家でアーティストのEnzo Barracco(エンツォ・バラッコ)の代表作品を集めた写真展の会場となり、来場者は印象的な写真によって気候変動による緊急の現実的課題を目の当たりにしました。これらの写真はバラッコ自身が南極大陸、ガラパゴス、ハワイ、アラスカへ遠征して撮影したもので、アラスカの作品は今回が初公開となりました。美しい海を捉えた写真は、地球上でとりわけ甚大な脅威にさらされている海洋環境の現実を訴えかけます。
テーマ別トーク
イベントの開催を記念して開催されたテーマ別トークセッションでは、海洋教育について幅広い視点から意見が交わされました。分野横断的な協力の役割に関するディスカッションのほか、海洋環境への情熱を海洋保護に関わるキャリアや生涯のコミットメントへとつなげていく方法、写真の持つ力を意識向上に役立てる方策などを議論しました。以下の各氏を含む多くのスピーカーが出席しました。ユネスコIOCシニアプログラムオフィサーのフランチェスカ・サントーロ氏、日本の著名な魚類学者のさかなクン、エンツォ・バラッコ氏、SEA BEYONDプロジェクトアンバサダーを務める俳優のバイ・ユーファン氏とティトゥアン・ベルニコ氏。
子供向け教育ワークショップ
科学・アート・海洋に対する意識向上を促す若者向けの教育ワークショップが開催され、魅力ある実践的体験の機会を提供しました。「Ocean kaleidoscope: rescue the whale(海のカレイドスコープ:クジラを救え)」と題したワークショップでは、海洋汚染、およびそれが海洋生物に及ぼす影響を探りました。「Land and sea: mini-ecosystems(陸と海:ミニ生態系)」では、子供たちは海面上昇が人間と海洋生態系の両方に及ぼす影響を学んだ上で、自然由来の方法を用いた解決策を考えました。さかなクンによる「Secrets of the Sea: A Journey into the World of Fish(海の秘密:魚の世界への旅)」は、中国海域の代表的な魚種をライブドローイングやストーリーテリングによって学ぶ機会となりました。